2023/11/06 20:47

こんばんは


今日は明後日の立冬に販売開始予定の新作
【雪明かり】についてお話したいと思います






アンデルセンの童話もみの木

日本だと人魚姫やおやゆび姫、
マッチ売りの少女やみにくいあひるの子が有名ですが
このもみの木はそのアンデルセンの童話のなかでも
ハッピーエンドとはいかない物語

お話の火がふっと消えて行くような読了感で
その終わりかたにはさびしい余韻が残ります


私も実は最近になって初めて読んだのですが、
日当たりよく心地よい森の中にいる小さなもみの木が
大きくなることに憧れるところから始まります

いつも成長することばかり考えて
周りの大きく綺麗な枝をもつ木を羨み、
切り倒された後の出世や冒険を期待して
その後の世界へ夢を見続ける

そして今の自分がどれほど恵まれているのかを知らずに
先を求めた結果、待ち受けていた末路を描いた作品です


青空文庫でも読めますのでご興味がございましたらぜひ


憧れのクリスマスツリーになったもみの木は
一体何を思ったのか

足るを知るという意味でも考えさせられた作品でした


年齢と、経験を重ねるにつれて
"あの頃は良かった"と歳をとってから気づくのは
世間を知ったからこそ思うことで

幸せの基準が変わっていったり
失ってはじめて気づくことがあるからなのかもしれません


この童話でも太陽や風が教えてくれますけど
あまり聞く耳をもたなかったり


若いときはそういったものなのだなと
自分のこととして落とし込みながら読みました


手の中にあるもの、あったものを溢さないように
今を大事にしようと思える作品です


新作の【雪明かり】では
このもみの木が若い頃に森でみてきたであろう
自分の枝先からみた景色を反映しています



夏の青々とした空の色や
冬の澄んだ空気に煌めく星たち
枝先についた雫、積もった雪など









もみの木が晩年にふりかえって語りかけてくれるように
最後は静かに「もうこれでおしまい」と消えていきます






冬にも今の時代にもぴったりのお話なので
ぜひこのもみの木という作品を読みながら
灯していただきたいです













それではここまでご覧いただきありがとうございました


そろそろ立冬ですが、
今年はあたたかい分秋が長く感じますね

良い秋の夜長をお過ごしください